英語ライティングルールブック

ライティングのための文法とは

ライティングの論点を網羅している名著。デイヴィッド・セイン氏の著書だけに安定感のある内容になっている。

本書の中心となるのは、文法・語法・句読法の解説。この中の「文法」の部分について、誤解が多いのでここに書いておきたい。

英語で文章を書こうと思ったら、必ず文法の壁に突き当たる。ライティング教材が文法を解説するのは当然といえるだろう。

ただし、文法を一から説明しているわけではない。そういった内容は、文法教材を使えばいいので、わざわざライティング教材で掲載する必要はない。

本書で解説している文法とは、より適切な英文を書くためのポイントのこと。

たとえば、受動態を例にしてみよう。

「be +過去分詞」の作り方を説明して、具体的に練習するわけではない。そういう内容は文法教材にあたればいい。

本書で解説している「受動態」は以下の3点。

・「不自然な受動態」
(動作主が明確で、対象が「もの」であるなら、受動態にしない方がよい。)

・「受動態の方が適切な場合」

    1. 動作主が一般の人々の場合(わざわざPeopleを主語にしない)。
    2. 動作主が自明な場合(農作物の話のときに、わざわざFarmersを主語にしない、など)。
    3. 行為を受ける対象が動作主より重要な場合(・・が発表される、など)。
    4. 動詞を強調する場合(書類がサインされた)。
    5. 曖昧な表現や客観的な表現をする場合(ミスがあった)。
    6. 被害を表す(事故でなくなった)。
    7. 感情表現を表す動詞(退屈だった be bored  がっかりした be disappointedなど。
    8. 頭でっかちな文を避ける(主部が長すぎる場合)。

・「能動態と受動態の文で意味が変る場合」(数量詞が関わってくる表現)

つまり、「能動態にすべきか、受動態にすべきか」という部分を解説しているのだ。

「受動態は控えめにして、動作主を主語にしたシンプルな英文が望ましい」というのは、英文スタイルの本で必ず言及されること。しかし、「控えめに」という曖昧な話では、単なる心がけの問題になってしまう。

そこで本書では、「どういうときに受動態が適切か」を網羅することで、不用意な受動態を減らす効果をもたせている。

ライティングスキルを向上させる文法を解説しているので、「文法学習はとっくに済ました」という人であっても、本書は役に立つはずだ。

例文の羅列ではなく例文の比較

本書の最大の特徴といえば、例文の豊富さだろうか。ここも誤解が多いのだが、よくある例文集のように、模範文を大量に羅列しているわけではない

本書では、一つの内容について、複数の例文を並べて、それを、☆○△×で評価している。適切な英文とそうでないものを比較しているのだ。

単に正しい表現を覚えるのではなく、比較して考えるようになっている。この形式は読んでいても楽しいし、学習効果も高いはずだ。

英語で書く必要のある人なら、手元に用意しておいて損はない一冊になっている。

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