一億人の英文法

大西文法の集大成

「英語を話すこと」を目的とした文法解説書。難しい文法用語を使うことなく、口語の例文を使いながら、一通りの文法項目を解説している。

著者の大西氏は多数の文法解説書をリリースいる(たとえば「ハートで感じる英文法」。本書はその集大成ともいえる力作。

本書の特徴は、(今までの一連の著書と同様に)ネイティブの「意識」に注目しながら解説している点にある。具体例で見てみよう。

it — to 構文を例にする。
(例: It is difficult to speak English.)

従来の文法書では、「it は形式主語であり、真主語は to 不定詞以下である」といった説明がなされていた。(現在、市販の文法書でこんな固い解説をしているケースは少ないが、学校の授業ではありえる)

本書では、it to 構文を次のように説明する。
まず、思いついた状況(英語で話すのって・・)を it で受けて文章を始めてください。It is difficult…ここで文が終わってもいいけど、それだけでは説明不足だから、to 不定詞で追いかけて説明します。

あくまで話し手の意識を説明することで、「なぜ、その文法項目が使われているのか」という学習者の疑問に答えている。it to 構文を理解するのに役立つだけでなく、その構文を使って話すときに役立つ解説になっている。

こうやって解説を比較してみると、「仮主語・真主語」などという昔の文法解説は滑稽ですらある。たしかに、to 不定詞以下の文(真主語)を it(仮主語)に代入すれば筋は通っているが、ネイティブがそんなことを考えているはずもない。数学的な整合性だけを重視した解説を読むとわかったような気になれるが、話せるようにはならない。

そういった旧式の文法解説にたいする批判は、実は90年代からの大きな流れになっている。日本人の英語とか、ここがおかしい日本人の英文法など、ネイティブ発の文法書が発端になっていた。それらの教材では、ネイティブである著者が英語を使っているときの内面を解説している。大西氏はそれらの書籍を参考にしていることは想像に難くない(共著者のマクベイ氏の貢献も大きいとは思うが)。

学校で習った英文法が苦手だったという人は、文法を避けるのではなくて、本書のような「市販の文法教材」を試してみてはいかがだろうか。英語の輪郭がつかめるようになるし、その後の上達スピードも上がるはずだ。

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