仕事の英語 いますぐ話すためのアクション123

仕事の英語 いますぐ話すためのアクション123

著者:河野 木綿子
出版:すばる舎
発行日:2017/1/21

外資系企業の人事部シニアマネージャーだった著者が、英語習得のヒントや実践のコツを伝える。

「仕事の英語」と向き合った25年間の経験をもとにした123のアドバイス。

英語で話すことを重視した内容になっている。

豊富なキャリア

本書の「はじめに」に書いてあった著者の経歴が興味深い。

  1. 新卒で日本の流通業の会社の人事
  2. 4年目に英語学校の職員(この段階では仕事の英語経験ゼロ)
  3. 外資系の証券会社のクラーク
  4. 医療機器会社のバイリンガルセクレタリーと人事(英語で初プレゼン)
  5. ロンドン大学に留学
  6. 帰国後は大手アメリカ系製薬会社の人事(頻繁に英語プレゼン)
  7. 現在は英語トレーナー

人事の仕事を軸にしながら転職を繰り返し、仕事の英語と向き合ってきたことがわかる。

本書は筋金入りの英語猛者による貴重なアドバイスとなっている。

123個の多岐にわたるアドバイス

本書では書かれている内容は、目次を見るのが手っ取り早い。

Amazonの「なか見!検索」でも目次を見ることができるが、一部を紹介すると以下のようなもの。

上記写真だと少し見ずらいかも知れないが、多岐にわたるアドバイスになっている。

123個のアドバイスは8つのパートに分類されていて、以下のような内容となる。

  1. 「話す」に特化せよ:読みと文法中心の勉強法を捨てる
  2. 「仕事」に特化せよ:自分に必要な表現から覚えよう
  3. これぞ最強の自主トレ:いつでもどこでもどれだけでも
  4. 英語で話すための「耳」と「口」を作る:1日10分から始めてみよう
  5. プロの力を借りて一気に上達:英会話学校、オンライン英会話など
  6. ついに今日からの英語の職場:やっぱり大事!挨拶や敬語
  7. 英語で上手に仕事を回す:ビジネスにも自信がついてくる
  8. 会議やプレゼンを乗り切るヒント:できるところから少しずつ

大筋では、英語学習のヒントと仕事で英語を使うときのコツ。

ほとんどのアドバイスは1ページで説明されているので、気軽に読める。

1つの論点を深く掘り下げた本ではなく、思いつく限りのアドバイスをまとめた本となっている。内容が多岐にわたるので、読んでいて飽きない。

外資系企業での経験が面白い

学習法のアドバイスなら、英語上級者であれば誰でも書けるはずだ。

しかし、仕事で英語を使うときのコツは、その経験がないとアドバイスできない。

その点、外資系企業で生き抜いた著者は、興味深いアドバイスをたくさん書いてくれている。

たとえば、110番目「英語のプレゼン1:デビュー戦はダメ元で」のページで、著者がはじめて英語のプレゼンをしたときの経験が書かれている。

あるとき、生まれて初めて英語で役員会のプレゼンをすることになった。当時、著者は日本語でのプレゼン経験さえなかった。

プレゼンを他の人にまかせると、そのプロジェクトをやったのはその人だと思われる。部長からそう言われて、自分がプレゼンするしかないと覚悟する。

しかし、英語でのプレゼンはとても無理そうだった。

そこで著者はどうしたか。

説明部分だけを自分でやって、質疑応答を部長にやってもらったという。

説明だけなら、事前に用意した原稿を読めばいいのでぎりぎりこなせる。しかし質疑応答となれば、役員の人々の英語を聞き取って、すぐに英語で応えなければならない。

それは不可能だということで、質疑応答は他の人に頼んだのだった。

このように、自分一人で難しいときには、交渉してハードルを下げればいい、というアドバイス。

最初から英語のプレゼンを完璧にできる人はいないわけで、無理なときには助けを積極的に求めるべきだ。そうやって仕事の英語をこなしていくのが、紛れもない現実だとわかる。

実にリアルなアドバイスではないだろうか。

外資系企業で長年働いてきた人だから書けるアドバイスが本書にはたくさんある。

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